ポケモンGOのアジア統括マーケティングマネージャーである須賀さんが登壇されるということで〜エンタメ思考の経営塾〜というセミナーに参加してきました!
約2時間、運営視点でのポケモンGOが語られるファンにはたまらないセミナーだったので、長めですが内容をまとめておきたいと思います!
タレントのMEGUMIさんが進行役となり、インタビュー形式で須賀さんから話を聞く形式でした(^^)
※ポケモンGOに関する話のほぼ全文掲載しています。文字数が多いのは覚悟してください笑
ポケモンGO誕生裏話
有名なエピソードですが、ポケモンGOは須賀さんとエンジニアの野村達雄さんがGoogleにいた時のエイプリルフール企画から生まれています。
2012年、当時Androidを担当していた須賀さんがGoogleMapチームの仕事場の近くを通りかかったところ、エイプリルフール企画に向けてGoogleMapをファミコン風にしているのを見かけたそうです。「面白そう!」と思った須賀さんは仕事とは全く関係がないにもかかわらず、以降数年にわたり野村さんと一緒にGoogleMapのエイプリルフール企画に関わることになります。
そして3年目に作った企画が「ポケモンチャレンジ」。これは「ポケモンを151種類捕まえたらGoogleにポケモンマスターとして入社できる」というフェイク企画になっています。
PVもかなり凝っていますが、このPVは今でもポケモンGOのプロモーションビデオ制作を行っているSIXの本山さんが制作されているとのことです。(有名なCMを多数製作されています!)
この動画が、当時Googleの社内ベンチャーだったNianticのジョン・ハンケCEOや任天堂の故・岩田社長の目に止まり、ポケモンGOプロジェクトが発足することになりました。
ちなみに、須賀さんの高校の親友が株式会社ポケモンにたまたま勤めており、そのつながりもあってGoogleとポケモンという全くの異業種であるにもかかわらず初期の連絡がスムーズにいったそうです。
リリース時の様子
2016年7月6日、ポケモンGOがリリースされますが、最初のリリース国はオーストラリアでした。オーストラリアを最初のリリース国にした理由は、世界最大のマーケットであるアメリカのリリース前に、同じ英語圏の国で反応をみたいからだったそうです。
日本でのリリースはそれから約2週間後の7月22日になります。本当はもう少し早く出す予定でしたが、先行リリースしていた国だけでも予想をはるかに超える大量のアクセスがサーバーに来ていたために、「日本が一番大切な市場なので、しっかり準備が整ってからリリースしたい」という意向があったそうです。
NianticがPokémon GOに込めた思いです!
— 須賀健人 (@kentosuga) 2016年7月7日
日本の皆様は引き続きお待たせしてしまい申し訳ございません・・・https://t.co/ojcOMpFtVV
ポケモンGOがヒットした理由
ポケモンGOがリリース初期に爆発的にヒットした理由について、須賀さんは2つの理由があったと言います。
1つ目はポケモンGOがニュース、ネット、街中のいたるところで話題になったこと。
「人がポケモンを捕まえるために外にでてボールを投げる様子」って目立ちますし、話題になりますよね。
電車の中でtwitterをしていても周りの人は気づくことはできない。しかしポケモンGOはプレイしていると一目でわかるから「ポケモンGOが流行っている」ということが、ニュースだけでなく街中で実際に多くの人が実感することができたと振り返られています。
2つ目の理由は、ポケモンGOがコミュニケーションを生むゲームだったから。
従来のゲームと大きく異なり、ポケモンGOでは外に出かける必要がある。ポケモンやポケストップを追いかけていくと新たな発見がある。
同じ場所にいれば誰しもが同じ体験をできるからこそ、ポケモンGOでは多くのコミュニケーションを生むことができたんですね。
リリース当初のPR戦略について
出た後しばらくはニュースになりすぎたこともあり、宣伝・広報を担う須賀さんが注力したのは「ポケモンGOの価値を正しいことを伝えること」。
NianticがポケモンGOを作ったのは「人を外に連れ出したい」から。人々を外に出せば、経済が動く。経済が動けば世の中を活性化できる。
みんなを動かし人を幸せにする力がポケモンGOにあることを伝えることを行いました。
逆風も多かったそうですが、「人を外に連れ出し、それによって幸せを生みたい」というポケモンGOのコンセプトがあるからぶれずに、メンバー一丸となって運営を行っていました。(「家でも何かしたい」という声も多くのユーザーから上がったそうですが、コンセプトとずれるので全て無視したそうです笑)
爆発的にヒットしたポケモンGOは、リリース当初、いい面以外にもネガティブなニュースも多く報道・ネット上で拡散されました。Nianticとしては「ネガティブな面も100%否定できるものではない」と、謙虚に受け止め、製品の改善に生かす姿勢で運営を行ったそうです。
ここからはQ&A形式で須賀さんのコメントを紹介していきます!
リアルイベントに注力する理由は?
イベントには、人をその場所に連れていく力がある。
例えば、鳥取砂丘は日本人の多くが知ってはいるが、実際にいったことありその魅力を知っている人はすくない。東北も震災時の記憶が徐々に人々の記憶から薄れつつある。
そういったところに、ポケモンGOのイベントをすることで「行きたい気持ち」を一押しできるのが、イベントの特徴。
実際、2017年11月に行われた鳥取砂丘のイベントでは3日で10万人以上の人が訪れ、18億円もの経済効果を生み出した。
イベントをすることで話題になるだけでなく、イベントを体験した人はすごい「いい思い出」を持って帰ってくれる。ゲームアプリ内だけでは体験できない、エンゲージメントの深さがイベントの特徴。
韓国でのイベントはなぜ行ったのか?
アジアの中で、韓国の市場規模は非常に大きい(スマホユーザー5500万人、スマホ普及率高い)。
しかし、韓国はポケモンGOがブームしてから失速がはやかった。そのため活性化させるためにイベントをおこなった。
イベントを開催する場所の基準は?
その場所自体に、イベント参加者に深い体験を与えるポテンシャルがあるか?を考える。例えば、横浜イベントは11日間で200万人以上参加したが、(株)ポケモンのイベント「ピカチュウ大量発生」とコラボしたからこそ成功した。
「ポケモンGOのためだけに行くのではない」ことが大事。
ポケモンGOのブームはもう去ったのか?
どんなものでも、流行りすぎるといずれ廃れ、「これやってて恥ずかしい」と思われるフェーズがある。ポケモンGOでもその現象が起きたことは否めない。
でも実際は、今でも驚くほど多くのユーザーがポケモンGOをプレイしている。広報としては、「ポケモンGO、すごい楽しいのにちょっと・・・」と思う人に対して「そんなことない、たくさんの人がやっている」と、伝えたい。
これからのNianticが目指すところは?
Nianticの目指すところは、AR(拡張現実)のリーディングカンパニーになること。
ARの本質は「現実世界に情報を付け加えること」。ポケモンGOでは「ARカメラ」ばかりが注目されるが「街中(現実)を歩いたら、ポケモンがいる(情報付与)」こと自体がAR。
今はスマホなどのデバイスによって制限される部分が多いが、NianticとしてはAR技術のプラットフォームを作り、その分野のリーダーとしてゲームにかかわらず開発を行っていきたい。
ハリーポッターもポケモンGOと同じようなゲームになるのか?
ingressとポケモンGOが同じプラットフォームを使用していながら全く異なるゲームになったように、ハリーポッターもポケモンGOとは全く異なるゲームになる予定。ただし「人々を外に連れ出す」というコンセプトは変わらない。
ポケモンGOのこれからについて
今よりもっともっと、「本当にポケモンがその場所にいる」ような体験をユーザーにさせたい。
そして、イベントの楽しみを伝え、人と一緒にポケモンGOをプレイする楽しさを感じられるゲームにしたい。
★★★
終わりに
セミナーの参加者はポケモンGOガチ勢はほとんどいなく、企業でマーケティングに関わっている方が主な参加者層のようでした。とてもアットホームな雰囲気のセミナーでした。
僕も須賀さんに直接質問したり、名刺交換してお話することができて貴重な思い出ができました!
主催したFIREBUGは、もともと吉本興業でマネージャーをされてた方が代表で、そのときのコネクションとノウハウを活かしてプロモーションコンサル&広告制作をされているベンチャーのようです。
僕はポケモンGOの公演に参加するのは3回目でしたが、マーケティング目線(どうすれば人が長く・深くポケモンGOを楽しむか)での話をがっつりきけてとても満足です(^^)
それでは、楽しいポケ活を!